リトミックは今から100年位前、スイスの作曲家エミール・ジャック・ダルクローズによって考案されました。明治から大正の時代に、ヨーロッパへ行った人たちにより、広められました。ダルクローズは音楽教育者であり、作曲家でもありましたが、初めて日本人でリトミックを学んだのは、市川左団次ら歌舞伎や演劇、ダンスの人達だったようです。 のちに小林宗作がダルクローズ音楽学校で学び、黒柳徹子さんの『窓ぎはのトットちゃん』で知られる「ともえ学園」を作り、教育、音楽界にリトミックを広めました。徹子さんの発想の豊かさはまさに、リトミックによるものなのですね。
ダルクローズが考案したリトミックは、音楽教育の中に身体表現を取り入れることで、音楽はまず体で感じるもの、体験してみなければ、理論など意味はなさないというものです。 音楽の即時に反応することにより、リズム感はもちろん集中力、反射力、がすぐれ自由に動くことにより、想像力、創造力が伸びて行きます。
ソルフェージュや即興演奏などにより、発想力を高め、独創性がうまれます。音楽を学ぶ上では、リトミックを経験する事がすべての基本になることでしょう。
脳の神経細胞は、生まれたときにほとんど出来ています。そして、3歳位までに、神経細胞がどんどんのびて、大脳のなかにいっぱいになるのです。神経細胞が伸びるのは、子供が体の内外から刺激を受けた時です。音楽を使って外から刺激を与え、歌ったり、踊ったり、笑ったり、さまざまな反応をするたびに内側からもしっかり感じ、大脳に神経細胞が伸びてきます。
では、刺激は多ければ多いほどいいのでしょうか?
たとえば、音楽性を育てるのに一日中音楽を流しているお母さんがいます。しかし子供が反応を示さない音楽を長く聞かせても、子供にとっては騒音のように感じてしまうかもしれません。音に無反応な子供にもなりえます。子供の探究心にあった音楽、刺激をあたる事が大切ではないでしょうか?
リトミックは無理なく、楽しみながら能力を伸ばせる教育法です
脳には大脳皮質のほか、感情をつかさどる大脳辺縁系と言われる部分など沢山の部分があります。
ある部分が目覚しく伸びていくと、ほかのあまり伸びない部分に侵食していくと言われています。
小さいころから、優秀だといわれていた子供が、感情が充分に育っていないために、哀しい事件を起こしてしまうこともありますね。
人間にとって、感情や意思の働きは知的能力以上に大切で、豊かな感情、しっかりとした意思を持った子が大人になれば、好奇心、行動力を維持していけるのではないでしょうか?
リトミックでは幼児に最も大切な、『感じること』の体験を音楽を通していっぱいいっぱいあたえていきます